【ペルソナ4】 Shining one Day by day
第13章 The Orange days
「なぁんか、言いくるめられた感じ?」
クマ君を中心にぞろぞろ歩く私達。
その中で千枝先輩が首を傾げながらつぶやく。
「ま、まぁ。クマ君も喜んでるし!」
天城先輩の言う通りに、クマ君は心底嬉しそうに屋台を覗いては歓喜の声を上げている。
「私たちは別にいいんだけど・・・睦月はこれでいいの?」
りんご飴を齧りながらりせちゃんが私に耳打ちをする。
本音を言えばこれで良い訳じゃなかった。
折角お洒落した浴衣姿の私を、花村先輩に見て欲しくない訳は無かった。
欲を言えば、一緒にお祭りを見て歩きたかった。
もっと欲を言えば、二人きりで。
そんな私の頭の中を全て読んだかのようにりせちゃんは一人で頷いている。
「もー・・・あの時、強引に残ってれば良かったのに!」
「それじゃあ皆に宣言しちゃうようなものだし、それは無理だよ!」
「うん・・・それは確かにねー」
「それに、クマ君あんなに楽しそうにしてるし」
「あ、確かに。クマはお祭りなんて初めてなんだよね」
「そりゃあ・・・ちょっとは残念だけど、今楽しくない訳じゃないし」
「睦月ってこういう時妙にポジティブだよね。でも、言われてみればそうかも」
「リセちゃーん!ムッちゃーん!あっちでヨーヨー釣りやってるクマよ!」
「二人とも、おいでよ。折角だから皆でやってみない?」
クマ君と天城先輩の声に呼ばれ、私たちは屋台の下へと早足で向かった。