【ペルソナ4】 Shining one Day by day
第13章 The Orange days
「遅ぇなー・・・」
「何してるんスかね?」
待ち合わせの時間を過ぎても特捜隊の女子達が姿を現さない。
既に集まっている俺と完二、悠とクマは何をするでもなく神社の入り口付近で身体を持て余す。
睦月と付き合う事になったものの、特捜隊のメンバーに表立って公表はまだしていない。
勿論皆歓迎してくれるとは思う。が、まだ付き合うと言ってもその日に手を繋いだくらいの仲だ。
それにあれから日も浅い。
もう少し慎重に、そう俺自身が思うのも事実だ。
だけど、俺の想いを知っている悠には話してもいいかもしれない。
無暗にそう言った事を言い触れ回るような奴じゃないし。
携帯電話の時計を時折見ながらそんな事を考えているうち
に、遠目から睦月たちが歩いて来るのが視界に入った。
「遅くなってごめんなさい!」
そう言いながら華やかな浴衣に身を包んだ特捜隊の面々。
その傍らには菜々子ちゃんまでしっかりと着付けをしてもらって、履き慣れない下駄と格闘している。
普段と違うクラスメイトの姿。
その中で、睦月は一際輝いて見えた。
自信なさげに縮こまるその姿。
不意に目が合って、思わず視線を逸らす。
「どう?先輩?似合ってる?」
「お、おう」
少し前なら喜んでリアクションをしていただろうりせの言葉も耳にロクに入って来ない。
「どうした、陽介?」
「あ、いや、なんでもねぇ」
「花村先輩、何か様子変スね」
「だから何でもねーっつの!」
「ベイビーちゃん達!あんなヨースケは放っておいて、クマとデートするクマ!」
ばっさりと流れを切るクマのこの鬱陶しさが不本意ながら今は助けになった。