【ペルソナ4】 Shining one Day by day
第13章 The Orange days
その日の夜、
私は夢を見た。
どこまでも広がる霧の中に立つ一つの影。
近づく前に、それは誰なのかをはっきりと感じる。
もう一人の、私。
「ねぇ」
私が口を開く前に彼女が語り掛けて来た。
「もし失敗していたら、アンタは私と向き合えてた?」
「・・・正直、わかんない。だけど、今ならわかるよ。私、臆病だった。勇気が、無かった。あなたを認めてあげるには、花村先輩への告白は単なるきっかけの一つだったって事」
「ふぅん?」
「私、すごく臆病だった。自分自身の心に鍵を掛けて、自分さえ周りに併せていれば良い、って、そんな風に考えてた。だけど、そうじゃなくって、大事なのは、自分の気持ちを素直に言葉にする事。あなたは最初から素直だったね。私の中の汚い心も、素直に口にするあなた自身が答えだったね。全部、全部ひっくるめて私だったんだね」
「・・・」
「私はあなたで、あなたは私、だね」
いつの間にか少し晴れた霧。
もう一人の私が嬉しそうに金色の瞳を細めている。
その笑顔は、初めてテレビに入った時に会った、悪意に満ちた物じゃなくて、純粋な笑顔だった。
彼女が小さく頷くと、その姿が金色の光に包まれる。
その瞬間、私のシャドウだった彼女がシラヤマに姿を変える。
今までみたいなノイズ交じりではなく、ハッキリとした形で。
「ありがとう・・・」
小さく脳裏に響いたその声で夢から覚めた時、私の目からは涙が流れていた。