【ペルソナ4】 Shining one Day by day
第12章 【短編】猫の嫉妬と番犬のしっぽ
「じゃあ先輩達、楽しかったです。また!」
そう言って十字路でスカートを翻して歩く睦月の後姿を、悠たちは見送った。
横を見れば同じように陽介が睦月の後姿を見つめている。
「なぁ、悠。もしかしてお前睦月の事狙ってる?」
「そうだけど」
「うわ、マジ・・・!?いえ許しません。あの子に手を出したらお父さん許しませんよ!」
「陽介、睦月の事好きなのか?」
「い、いやあの、好きっていうか気になるっていうか・・・って何言わせんだよ悠!と、兎に角。お前はなんつーか、隣のクラスの海老原とか、文化部のコとか、他にもいるだろ。睦月はあげません。そんな不健全な男との交際は許しません!」
冗談めいた口上の陽介に、悠はつい堪えきれずに声を上げて笑いだす。
普段見せない親友の姿に陽介は呆気にとられた。
「いやいや、何笑ってんだよ」
「陽介があんまり必死だったから」
「な・・・!?」
「やっぱり陽介は犬、だなぁって」
犬と言われた意味が解らずに陽介は困惑する。
「番犬が噛みついてくる前に俺も帰るよ。またな、陽介」
「お、おう・・・」
悠は振り向かずに陽介に手を振る。
その背中に置き去りになった陽介。その後ろでは日が沈んでゆく。