【ペルソナ4】 Shining one Day by day
第12章 【短編】猫の嫉妬と番犬のしっぽ
じっと見つめられ、睦月はたじろいでしまう。
真っ直ぐで澄んだ、鋭さを帯びたその瞳は今は優しく睦月を見つめ続けている。
「そ、そんな事ないです・・・」
睦月は体温が急上昇していくのを感じた。
「睦月、可愛いな。やっぱり睦月は犬、だね」
不意に頭を撫でられ、その大きな手が髪を伝って行く。
その手が再び睦月の頬に触れそうになった時、遠くから私服に着替えた陽介が走って来るのが視界に入った。
「はいはいはい、そこ、ちょっと離れなさい。不健全ですよ」
二人の間に椅子を引いて座る陽介。
「花村先輩、お疲れ様です」
「陽介、お疲れ」
「おう。今日はそんなに込んでなかったし、短いシフトだったから楽勝だったけどな。お前らはここで何してんの?」
「たまたま外歩いてたら鳴上先輩とばったり会って、それで何となく」
「俺は、丁度今日は欲しい本の発売日だったから」
そう言って悠は文庫本サイズの本を取り出して見せる。
人気シリーズ「弱虫先生」の最新刊がその手に握られていた。
「で、ばったり会った後輩を連れて逢引ですかー?」
テーブルの下で陽介が悠の脛を軽く蹴る。
「ああ。残念な事に残念な王子様が残念なやり方で乱入したけどな」
冗談交じりで返す悠もテーブルの下で睦月に気取られないように陽介を蹴り返す。
「まぁ、そろそろ帰る頃だったから、丁度良かった。行こうか」
三人はテーブルの上を手早く片付け、その場を後にした。