【ペルソナ4】 Shining one Day by day
第12章 【短編】猫の嫉妬と番犬のしっぽ
鼻先が触れそうになった瞬間、隣から割って入る声がそれを遮った。
「はーい!お客様お待たせしましたぁ!ジュネス特製たこ焼きお持ちしましたよぉ!」
声のトーンこそ明るいが、明らかに牽制の意を込めている陽介がエプロン姿で立っていた。
大きな音を立て、たこ焼きの皿をテーブルに置く。
「・・・陽介、俺は頼んでないけど」
「折角来てくれたからこれは俺のおごり。あとお客様、店内でのイチャイチャはご遠慮くださいねー!」
笑顔を崩さない陽介だが、その額にはうっすらと青筋が立っている。
「あと10分もしたら俺上がりだから、これ食って待ってろよ。睦月、一緒に帰ろうぜ」
敢えて悠の名を出さない陽介。
睦月が何か返事をする前に、陽介はエプロンを締めなおしながらカウンターの内側に戻って行ってしまった。
「折角だから冷める前に食べようか」
「は、はい・・・」
陽介の牽制も華麗に受け流し、悠は睦月に割りばしを手渡す。
「ねぇ睦月」
「なんでしょうか?」
「今度二人だけでテレビの中、探索しない?」
「え・・・!?」
「大丈夫。クマにはいつも出入り口を出したままにして貰っているし、無理に強いシャドウのいる所には行かない」
「え、でもどうして・・・」
「誰にも邪魔されないで、二人きりになりたいから。・・・それとも俺と二人きりじゃ嫌?」