【ペルソナ4】 Shining one Day by day
第11章 その柵は自分次第
りせの言葉を合図に、皆がそれぞれに動き出す。
作戦の要の陽介と睦月は少し離れた場所で待機する。
陽介の数歩後ろで睦月はこぶしを握り締めた。
万が一この作戦に失敗した場合、一番危険なのは陽介だ。
それなのにその役割を当たり前の様に引き受け、更にはいつもの調子でおどけてみせる。
だからこそ絶対に成功させなくては。
制服の中に隠しているネックレスを首元からそっと引き出し、それに繋がった指輪を両手で祈るように包み込む。
「なぁ、睦月」
背中を向けたままの陽介が睦月に語り掛けて来た。
咄嗟に指輪を元の制服の中にしまう。
「先輩・・・?」
「大丈夫、心配ねーよ。絶対成功させてみせるからな」
「は、はい!」
「終わったらさ・・・」
少しの間。
次の言葉を待つ間にも、特捜隊のメンバーはそれぞれのペルソナを召喚し、シャドウのブロックを破壊する作戦を遂行している。
「・・・いや、何でもねー。今ここで言っちまうと、何か卑怯だから止めとく」
言い淀んだ言葉の先が気になるがここで追及するのも憚られる。
何より、自分自身が陽介に言わなければならない事の方が大きく、上手く返せる言葉が無かった。
「皆聞こえる!?悠先輩の気配察知!ブロックの上の方、薄くなってるからもうすぐ壊れるよ!」
りせの声が全員の頭の中に響く。
「ま、とりあえず今はこっちだよな。んじゃ、合図すっから頼むぜ、睦月」
ふり返った陽介は笑顔だった。
その目だけは、強い決意を秘めて。