【ペルソナ4】 Shining one Day by day
第11章 その柵は自分次第
未だに不安定な睦月のペルソナ、シラヤマは久保のシャドウからの攻撃を跳ね返す事しかできないが、りせの的確な指示のおかげでこれまでより有効にそれを活かしていた。
ダンジョン同様、古いRPGの勇者を思わせるブロックで出来た久保のシャドウ。
シャドウの攻撃をしのぎながらブロックを壊していくと、その中では大きな赤子のような本体が意味不明な詠唱を繰り返していた。
「あれがシャドウの本体!早く攻撃しないとブロックが再生しちゃうよ」
りせの言葉通り、壊したばかりのビビッドカラーのブロックが再生と結合を始める。
久保のシャドウは一度目を見開き、耳をつんざくような泣き声を上げ、広間に響き渡らせた。
「くそっ・・・イザナギ!」
悠がイザナギを顕現させると、一直線にシャドウの方へ走り出した。
「おい鳴上!?」
「待って悠先輩!危ない!」
皆の言葉にも振り返らずに再生しかけたブロックの中へ飛び込んで行く。
「鳴上君・・・!」
瞬間、再生したブロックが悠と皆を完全に分断した。
「先輩、何やってんすか!!」
完二が怒声を上げるが恐らくその声すら届かないのだろう。
何の物音もしない。
「あいつ・・・」
ほんの少し前の悠との会話を思い出し、唇を噛む陽介。
今にして思えば、あいつは何かに追い詰められている様にも思えた。
相棒と呼び合っているのにその事を正直に自分に打ち明けてくれない悠。
怒りと不安が混じり、悠同様走り出そうとする自分自身を陽介は押さえ込んだ。