【ペルソナ4】 Shining one Day by day
第11章 その柵は自分次第
「花村先輩に・・・想いを・・・告白、かぁ」
今まで考えた事が無かった訳では無かった。
何度頭の中でハッピーエンドを思い描いただろう。
だけどその決断が現実の物となると話は違った。
もしも先輩から断られたら。
もしもまだ早紀ちゃんの事が好きだったら。
もしもその告白が原因で疎遠になってしまったら。
ひいてはこの特捜隊の関係に罅が入ってしまったら。
悪い方向の「もしも」が睦月の頭の中を支配して、不安の色が増して行くばかりだ。
だけど目の前の同級生と先輩二人が心の底から応援してくれている。
「あの・・・もし告白に失敗して、特捜隊がギクシャクしちゃったら・・・ごめんなさい」
「まだ告白すらしてないのにそんな心配してるの?その辺は考え出したら何にも出来ないでしょ?そんなのは起こってから考えようよ」
りせがぎゅっと睦月の手を握る。
流石最近までアイドルをやっていたりせだ。文字通り爪の先まで丁寧に手入れされている。
「りせちゃんの言う通りだよ。睦月ちゃん、頑張って」
その手の上に雪子が掌をかざす。
「考えるんじゃない、感じるんだ、ってね!」
雪子の手の上に千枝がさらに手を重ねる。
ほら、とりせに促されて睦月は三人を順に見つめ、小さく咳払いした。
「じゃ、じゃあ・・・この戦いが終わったら、私、先輩に告白します・・・!」
「睦月ちゃん、それは死亡フラグだよ」
「ふ・・・ふふっ・・・睦月ちゃん、ここでボケるんだ・・・ぶふっ・・・!」
「もう。睦月、肝心な所でこうなんだから。しっかりしてよね」
結局上手く締まらずに、「行くぞー!」「おー!」と単純な掛け声になり皆気が抜けた所でクマの足音が聞こえた。
ピコピコと軽やかな足音を響かせて戻って来たクマは、目の前の女子四人組が興奮の為に上気させた頬の理由が判らずに短い首を傾げていた。