第11章 その柵は自分次第

「こんな風に、気になってる人、好きかもしれない人の事を堂々と言えるって、すっごく自由で素敵な事だと思う」

「りせちゃんが言うと説得力あるなぁ・・・」


清々しい表情のりせに千枝が感服した声を上げる


「だからさ、睦月も折角チャンスがあるのに自分から可能性を潰すなんて勿体ないよ」

「知っちゃったからには私も応援する」


りせの言葉に雪子が加勢する。


「だけどさー、睦月ちゃん、いくら助けてくれたとは言え、ホントに花村で良いの？」


「本当に」を強調しながら普段のお調子者ぶりを間近で見ている千枝が念を押す


「そ、そんな所も好き・・・なんです」


恥ずかしさで小さくなった睦月がさらに小さい声で反論する。


「そ、それと・・・実は、千枝先輩の事、ずっと羨ましく思ってました・・・」

「へ？」

「学校で花村先輩といつも楽しそうにじゃれ合っていたし、実際千枝先輩と花村先輩・・・付き合ってるってウワサだってあるし・・・」

「はァ！？誰があいつなんかと！！」

「千枝、睦月ちゃんはその花村君を好きなんだってば」

「あ、ゴメン」

「いや、いいんです。むしろ私、そんな千枝先輩の事、知り合う前は少し嫉妬してました。ごめんなさい」

「マジすか。いや、全然気にしないからいいんだけどね、そこはさ」