【ペルソナ4】 Shining one Day by day
第1章 4月に芽吹くヒーロー
あの時の出来事が一気に頭の中に蘇る。
そうか・・・・俺・・・ヒーローに・・・なれてたんだ・・・
次の瞬間、急に陽介の心臓がひときわ大きく脈打つ。
その衝動に思わず目を閉じると、心の奥底から声が響いてきた。
我は汝、汝は我・・・
瞼の向こうに光を感じ、そっと目を開けると、ノイズにまみれていたもう一人の自分が光を放ち、姿を変えてそっと降りて来る。
・・・ジライヤ。
不意に心に浮かんだ名をそっと呟くと、それに応えるかのようにジライヤが頷き、宙に浮かんだ青いカードに形を変える。
それを胸に抱くと、まるで心に吸い込まれるかのようにカードが音も無く消えた。
これが、ペルソナ・・・。
靄が晴れたようにクリアになった思考の中、背後から鳴上の声が聞こえた。
「しっかりしろ・・・!大丈夫か、起きろ・・・!」
陽介が振り向くと、先ほど自分達を庇ってくれた少女が鳴上の腕の中でぐったりとしている。
「鳴上!その子、大丈夫か」
そう口にはしたものの、明らかに大丈夫な様子では無かった。
擦り傷だらけの身体。大きな出血はないものの、頭でも打ったのかぴくりとも動かない。
急いで駆け寄り、手首を取って脈を探る。
脈はあった。が、それはとても弱々しく、今にも止まってしまいそうだ。
「頼む、目を開けてくれ!」
「花村、どうしよう」
鳴上の顔に焦りが見える。
おそらく陽介自身も同じ表情をしているのだろう。
このままではこの子は死んでしまうかもしれない。
それも、自分のシャドウの所為で。