【ペルソナ4】 Shining one Day by day
第10章 【短編】No.5'coffee
中学生の女の子が、不審者に絡まれたと親御さんを連れて相談があった。
偶然通りかかった時にそれを窓口で軽くあしらおうとする他部署の奴を怒鳴り散らした事があった。
幸いその警官は事の重さを受け止めて今じゃ近隣のパトロールに力を入れている。
「お前、あの時の中学生だったのか。よく俺の事を覚えていたな」
「事後報告だと警察に相談しても意味ないんだ、って落ち込んだ直後だったし、よく覚えてます」
「確かその時は・・・」
「絡まれた時には、通りすがりの高校生に助けて貰いました。その助けてくれた高校生、多分おじさんも良く知ってます。鳴上先輩と同じクラスの、花村先輩です」
「花村・・・って、あのジュネスの花村君か。悠の友達の。はは、こんな偶然あるんだな」
「そうですね。・・・なんだか鳴上先輩が繋いでくれた縁、みたいですね」
「全くだ」
その時、玄関のドアが開く音が響いた。
「叔父さん、ただいま。あれ、睦月?」
「噂をすれば何とやら、だな。おかえり、悠」
「先輩お帰りなさい!お邪魔してます」
「悠、お前、バイトしてたんだってな?」
「はい、今日は家庭教師のアルバイトでした」
「家庭教師ィ!?」
悠の成績が良いのは良く知っている。だが家庭教師をやる程の学力があったとは。
「じゃあ、そろそろ私も帰ります。おじさん、コーヒーご馳走様でした」
「あぁ。またいつでも来い。菜々子も喜ぶ。悠、帰って来て早々悪いんだが・・・」
「わかってますよ。睦月、家まで送る」
「いや、そんな悪いですよ・・・!」
「いいから」
「すいません・・・ありがとうございます」
「それじゃあまたな」
「はい、お邪魔しました!」
礼儀よくお辞儀をして玄関へ向かう睦月。
二階で既に眠っているだろう菜々子の良いお手本のようだ。
菜々子も、彼女の様に礼儀正しく素直な子になるだろうか。
高校生までまだ十年の余裕があるにも関わらず、既にそんな心配をしている自分自身が少し滑稽に思えたが、気持ちよく酔っぱらっている所為にしておこう。