【ペルソナ4】 Shining one Day by day
第10章 【短編】No.5'coffee
テーブルの皿と、冷蔵庫のビールが粗方空になったあたりで、事もあろうか足立は茶の間に寝転がったままイビキをかき始めてしまった。
日中の捜査の過酷さにまだ慣れていないのだろうか。
それとも、この家に慣れて来た証だろうか。
菜々子は既に明日の支度を済ませ、二階で寝自宅を始めていた。
「そろそろ私もお暇します。・・・あ!その前にこれ、片付けますね」
そう言いながら睦月はテーブルに雑多と散らかった総菜の空容器を集め、手早く片付けて行く。
「あぁ悪いな。こっちがもてなす側だったのに」
「いえ、ご馳走になったんでせめてこれくらいは」
台所の布巾でテーブルを丁寧に拭き、落ちている缶を拾いながら睦月はそう答えた。
・・・この謙虚さをほんの少しでもそこで寝転がる部下に分けてやりたいくらいだ。
その姿にふと思い立って、声を掛けてみた
「睦月、コーヒーでも飲んで行かないか」
返事も待たずにヤカンに火を掛ける。
ついでに煙草に火を付けようとポケットの中でライターを探りかけ、止めた。
自宅とは言え未成年の前だ。
「わ、それじゃあ頂いていきます」
「と言っても我が家はインスタントコーヒーだがな」
戸棚を開けると三つのマグカップが目に留まった。
「睦月、お前、カップは悠のなんだが、良いか」
「はい!」