【ペルソナ4】 Shining one Day by day
第10章 【短編】No.5'coffee
「お兄ちゃん、最近いろんなアルバイトしてるんだよ」
睦月に手伝ってもらい、並べられた総菜に箸を伸ばしながら菜々子が首を傾げる。
年頃の悠だ、小遣いを貯めて買いたい物でもあるんだろう。
最初の方こそそう思っていたが、内職に始まり翻訳、病院の清掃、挙句には学童保育とアルバイトを増やしていく甥が少々不安だ。
「睦月、一度こっそり悠の様子を見て来て貰えるか?あいつは一体何をしてるんだ・・・」
「堂島さん、ダメですよ。年頃の男の子には秘密にしておきたい事の一つや二つ、あるでしょ?」
既に三本目の缶ビールのプルタブを景気良い音を立てながら足立が横槍を入れる。
「・・・そりゃ俺にも覚えがない訳じゃないが」
ふと睦月を見ると、総菜と一緒に何か言葉を飲み込んだらしい。
目が合うと慌ててお茶を飲み干していた。
その様子を見逃さずに足立が声を上げる
「あれ?睦月ちゃん、その様子だと悠君が何してるか知ってるんじゃない?」
「い、いえ、あの・・・」
明らかに何かを隠している様子ではあったが、敢えて聞かないでおくことにした。
この手の話題になるといつも尋問の様になってしまう。
そうして菜々子に怒られたことも何度もある。
「まぁ、いい。危ない事だけはするんじゃないぞ」
こうした時につい余計な一言をついてしまう自分は、名実ともに「おじさん」だな。
自嘲気味にビールを煽る。