【ペルソナ4】 Shining one Day by day
第10章 【短編】No.5'coffee
珍しく定時で仕事を終え、自宅へ帰ると玄関にローファーがきちんと揃えられていた。
甥の悠がこちらへ転校して来た後、友達として遊びに来ている雪芝睦月の物だ。
「あ!おとうさん!おかえり」
いつもの笑顔で迎えてくれる娘、菜々子の後ろに睦月の姿があった。
「おう、お前・・・睦月か。いつも菜々子と遊んでくれてありがとうな」
「いえそんな!菜々子ちゃんと一緒に遊ぶの、楽しいです。今日は二人で絵をかいて遊んでました」
「お兄ちゃん、今日はアルバイトで遅くなるからって睦月ちゃんが遊びに来てくれたんだよ」
「そうか。睦月、飯はまだだろう?食っていけ。ほら、お前も家入った!」
振り向いて声を掛けると玄関先で立ちっぱなしの片眉を下げた足立が顔を覗かせた
「いやぁ、なんか団欒中悪いですねぇ」
「飯は大勢で食った方が美味いだろ。さぁ入れ」
「それじゃあお言葉に甘えて」
その声にはある種の図々しさが含まれていたが、これも最近になっての事だ。
遠慮がちだった部下が心を開いてくれている証だと、そう感じていた。
「おじさん、私まで良いんですか?」
「若者が遠慮すんな。だけどご両親にはきちんと電話しておけ」
「やったぁ!みんなでご飯、嬉しいな」
心の底から嬉しそうな菜々子の笑顔に自然と顔が緩む。
「堂島さんでもこんな顔するんですねぇ」
へらへらと茶化す足立の頭に軽く拳骨を落とした。