【ペルソナ4】 Shining one Day by day
第9章 眠れない夜を退治しに行こう
「そう言えば睦月、今更だけどお前部活とかは?」
「ううん、正直それよりもこっちに忙しかったですから。・・・鳴上先輩ってすごいですよね。部活掛け持ちで、勉強も学年トップ、しかもバイトまでしてるらしいですね」
「ああ。なんつーか、俺らとは別格な感じだよな。その上ペルソナもあいつ沢山出せるし」
「やっぱさー、女子ってのはああいう何でも出来る男が良いんだろうなぁ」
「わ、私はその・・・」
急に口ごもる睦月。
暫く黙った後、睦月が呟いた。
その先をちょっと期待してしまう。
「私は・・・先輩の方が、かっこいいって、思います」
聞き間違えかと思う程の小さな声に思わず聞き返してしまう。
「え、今なんて・・・?」
「・・・私にとっては花村先輩の方が、かっこいい、です。私の為に命を懸けて守ってくれた。先月のあの時だって。先輩の声が聞こえたから・・・目を開ける事が出来たんです、多分」
「睦月・・・」
視線を逸らしながらも一生懸命に伝えて来るその姿が可愛くて仕方が無かった。
テーブル越しに居るだけなのに、心臓が早まる。
「お前・・・ありがとな。なんか、すっげー嬉しい」
ようやく合った目が少し潤んでいて、もし今いる場所がジュネスでなければ抱きしめていたかもしれない。
そんな思いを押し込めて、わざとに明るい声で睦月に提案した。
「よし睦月、ここは俺が可愛い後輩の為に奢ってやるから何でも好きなもん食っていいぞ」
「え、えと・・・!?」
「まぁまぁ気にすんな。たまには先輩に甘えなさい」
「本当ですか。んーと、それじゃあ・・・パフェがいいです」
女の子らしい返答に俺は心底胸をなでおろした。
良かった。まだ里中2号は完全体じゃなさそうだ。