【ペルソナ4】 Shining one Day by day
第9章 眠れない夜を退治しに行こう
「ありがとう!今日は暑いね」
なんて言いながらカップに口を付ける。
「ん!?」
瞬間、甘さを含んだ塩分が口内を満たし、麦茶の味を期待していた舌が混乱する。
びっくりして菜々子ちゃんを見ると、彼女も同じくびっくりした顔をしている。
口に含んでしまった分を飲み込む。喉を通り過ぎる頃に液体の正体がようやく判った。
「これ・・・めんつゆだ・・・」
渋い顔をした菜々子ちゃんが呟く。
「そうだ・・・たくさん作って置いたら晩ごはんのとき楽だからって、お父さんがこれに入れてたんだった・・・」
「色似てるもんね。麦茶の入れ物に入ってたら間違えちゃうね、これは」
「睦月ちゃん、ごめんね」
「ううん、気にしないで。あ、そうだ」
そう言いながらポケットに入りっぱなしの包みを出す
「これ、学校の帰りに花村先輩・・・えっと、ジュネスのお兄ちゃんから貰ったんだけど、口直しに一個ずつ食べようか?」
「わ!アメだぁ!食べる!」
「どっちがいい?」
そう聞きながらテーブルの端に二つ並べると、嬉しそうに菜々子ちゃんが片方を手に取った
「菜々子こっち!いちご味がいいな」
「じゃ私、こっちね」
オレンジ味の小袋を破り、それを頬張る。
「おいしいねぇ!睦月ちゃん、ありがとう」
「うん、おいしいね」
菜々子ちゃんの笑顔を見ながら、私はこれをくれた花村先輩の事を思い浮かべていた。
「ねぇ睦月ちゃん」
「ん?なぁに?」
「このオレンジ色って、何だかジュネスのお兄ちゃんみたいな色、してるね・・・あれ?睦月ちゃんどうしたの?顔、真っ赤だよ?」