【ペルソナ4】 Shining one Day by day
第9章 眠れない夜を退治しに行こう
「よぉ、睦月!」
放課後、玄関で花村先輩が私を待っていてくれたらしい。
「あ、花村先輩!今帰りですか?」
「ああ。これからバイト。睦月は?」
「ちょっと秘密の用事、です」
「まぁ、いいや。朝の事お礼言いたくて待ってたんだ」
「今朝のあれ、ちょっと先生酷くないですか?」
「今に始まった事じゃねぇからなー。それにしても度胸あるな、睦月」
「そりゃあ。テレビの中で散々度胸試されてますから!・・・でも正直かなりドキドキでした」
「そっか。っと、そうだ、ちょっと待ってろ」
言いながら先輩はポケットを弄ると何かを拳に握りしめて手を突き出して来る。
「なんですか、これ?」
「お礼・・・ってもこんなもんしかねぇけど、やるよ」
両手をその拳の下に添えると、開いた掌から飴玉が二つ。
ジュネスブランドの製品、フルフルのど飴だ。
ストロベリー味とオレンジ味が私の掌に転がり落ちて来た。
「おっと、それじゃ俺もう行かなきゃ。じゃな!」
そのお礼を言う間も無く、花村先輩は駆け足でジュネスへ向かってしまった。
私は掌の赤色と橙色にしばらく目を離せないでいた。
「おーい、睦月っ!」
後ろから掛けられた声に振り向けば、そこにはりせちゃんが立っていた。
「りせちゃん!?いつからそこに!?」
「え、さっき睦月が花村先輩からアメ貰ったあたりから」
りせちゃんが可笑しそうに声を震わせながら言葉を続ける
「さっきの花村先輩、小さい子をお菓子で釣る誘拐犯みたいだったね!」