【ペルソナ4】 Shining one Day by day
第9章 眠れない夜を退治しに行こう
―数日後ー
登校中の朝。
ようやくテストが終わったという安堵の中、学校目前のキツい上り坂を上がりきった所で、花村先輩の後姿が見えた。
門から先に入らずに、その場に立ち尽くしている。
歩みを進めてすぐにその理由が判った。
抜き打ちの服装点検に引っかかっていたからだった。
花村先輩を阻むのは、先輩の担任、モロキンこと諸岡先生。
でも、担任の先生なら校則違反の指導なんかいつでもできるはず。
なのに、なんでこんな所で・・・
それに花村先輩以外にもっと校則違反をしている生徒もいるのに、彼らには目もくれない。
大きな声で「だらしがない」とか「都会から落ちぶれたくせに、まだかぶれている」とか。
何だか見せしめにわざとにそこでそうしている様に見えて、私は妙に腹が立った。
一呼吸置いた後、私は二人の間に割り込んだ。
「だいたい貴様は普段から・・・」
「おはようございます!諸岡センセー!!」
「う、うむ、良い挨拶だ。確かお前は・・・」
「一年の雪芝です!諸岡先生、先生って確か授業は倫理でしたよね?」
「あ、ああ、そうだが・・・」
「倫理って一年じゃまだ無い教科なんです。あーあ。先輩達が羨ましいなぁ」
呆気にとられる諸岡先生。後ろの花村先輩に向かって背中越しに手を振り合図をする。
その合図に気付いた花村先輩がそっとその場を立ち去る気配を感じる。
「来年、先生の授業受けるの楽しみにしてます!」
丁度その時、予鈴が鳴り響く。
「それじゃあ、教室行くんで失礼します!」
小走りで校内に入る私の心臓は緊張で早鐘を打っていた。