【ペルソナ4】 Shining one Day by day
第1章 4月に芽吹くヒーロー
花村の姿をしていた「ヤツ」は巨大な蛙の様な化け物に姿を変え、疾風を巻き起こし、俺と花村に襲い掛かる。
花村に声を投げ掛けるが、クマにシャドウと呼ばれているもう一人の自分に精神を揺さぶられた花村は地面に手をついてうなだれたまま動こうとしない。
このままじゃ・・・俺も花村も、扉の向こうにいる筈のクマも・・・
シャドウが自身の腕を強く振り回し、疾風は竜巻へと威力を高めて行く。
逃げる間も無く、それがシャドウの手から放たれ俺達の方へと向かってきた。
咄嗟に腕を前に重ねて構えるが、そんなものでは防ぎきれないのは明らかだ。
「先輩、危ない!」
その時、モップを真一文字に握りしめた少女が突如俺の前に躍り出た。
途端、見えない壁でもあるかのように少女の前で竜巻が阻まれる。
「く・・・んんっ・・・!」
まるでその竜巻を弾き返そうとする様に、制服のスカートがはためくのも躊躇わずにモップに力を込めて踏ん張っている。
小柄なその背中からは表情が判らなかったが、彼女が羽織っているパーカーには見覚えがあった。
確か・・・転校した日の朝、職員室の場所を教えてくれた一年生だ。
でも、一体何故ここに・・・?