【ペルソナ4】 Shining one Day by day
第7章 ノイズの交差点
一人で話しながら、俺はうっすらと感づいていた。
睦月の身体から生気が抜けて行くのを。
それを認めたくなくて、目を閉じたままの睦月に話しかけ続けた。
「なぁ・・・もうすぐ皆来るから。だから睦月、頑張れ。もうすぐ夏休みだって始まるだろ?こんな所でやられてるなんて勿体ねーぜ・・・だから・・・」
話しかけながら自分の声が涙声になっているのに気が付いた。
助かって欲しいという強い願いと、これがお別れの言葉かもしれないと言う悲しみ。
「睦月、頼むよ。帰って来てくれ」
思わず身体を抱きしめると、胸の上あたりに何か固い感触。
そっとセーラー服の襟をよけてみると、そこから銀色の鎖が見えた。
アクセサリーなら服の中にしまう必要はない。
何気なくその鎖を服から出してみると、それに繋がっていたのは林間学校の夜に睦月にあげた指輪だった。
「・・っ、お前、なんでこんなもん大事に・・・」
あれからずっと身に着けていたのだろう。
チェーンの、指輪が当たる部分が少し変色しかけている。
それを片手で握りしめ、祈る。
睦月、もしも俺の声が届くなら・・・
目ぇ、覚ましてくれよ。
俺の視界は、滲んだ涙でぼやけていた。