【ペルソナ4】 Shining one Day by day
第7章 ノイズの交差点
「おい、目ぇ覚ませよ、睦月・・・」
そっと身体を揺さぶってみるが、その瞼が開く気配が無い。
睦月自身の力の限界まで使ってしまった所為か、
武器を握りしめていた指先がボロボロになって爪が剥がれている。
顔につく血、焦げた髪。
残った力でジライヤを呼び出し、身体を回復させる。
光の粒が睦月を包み、傷ついた身体を徐々に癒して行く。
後で天城に頼んでもっと本格的にやってもらおう。今はせめて応急処置にでもなれば・・・。
俺の持つ回復の力はそんなに大きい物じゃない。
せいぜい、他のメンバーが回復できない時に繋ぎ程度に使うしか出来ない。
けど、この力のお陰で四月に睦月の事を救うことが出来た。
だけど、今回は・・・
「睦月、起きろよ」
何故か大きな声で名前を呼ぶのが憚られる。
小さく呟くように、名前を呼ぶ事しか出来なかった。
「なぁ、起きろって。今、りせがペルソナ能力に目覚めて、クマのシャドウと闘ってる。すげーんだぜ。・・・なぁ、もうすぐ天城が来ると思うから、そうしたら全部治してもらおうぜ?だから、起きてくれよ」
少し離れた所で爆発音や何かがぶつかる音がする。
おそらく皆がまだクマのシャドウと闘っている最中だろう。
だけど、俺と睦月の周りには、薄い壁があるかのようにそれらが何処か遠くからの物の様に感じる。
「終わったらさ、皆で帰ろうぜ。送って行くから。なんならどっか寄り道したっていい。…この間、林間学校の時、楽しかったよな。またあんな風に話せたらって、思ってたんだ」