第2章 寮生活
今日は母さんに会いに行くために、病院へ来ていた。
新しく入ってきた亜依について話していたら、
いつの間にかあたりは暗くなっていて、帰ることにした。
病院の帰り道、敵が暴れ回っていて迂回しようと足を返した瞬間、
目の端に小さな少女に敵が向かっていくのが見えた。
自分の個性を使おうと思ったが、被害は少ない方がいい。
「危ない!」
彼女をとっさに路地裏へ運ぶ。
体を見ると、全身が紫になっていて、敵に襲われる前にしてはおかしいと思った。
緑谷みてぇな個性を使ったあとか?
「おい。大丈夫か!?」
体をゆすると透き通るようなブラウンの瞳が目に映った。
『しょ…体。動かなくて…ごめんなさい』
初め、ことばをつぐんだ様子だった。
俺の名前かと思ったが、こんな子知り合いにいない。
とりあえず寮へ運ばなければ。
「悪ぃな。迷惑はかけねぇからちょっと運ぶぞ。」
自分の走れる最大のスピードで寮へ向かう。
ーーー
「轟くん、遅か…え、大丈夫その子!?」
麗日がたまたま共同スペースにいて良かった。
夜遅いのにも関わらず、全員を起こして
先生を呼びに行ってくれた。
全員に事情を話して、女の子の手当をする。
リカバリーガールが来るまでの辛抱だ。
「エッ…じゃなくて、大丈夫か!」
峰田は正常運転。人間のクズ。
「ッチ…こんな女ほっときゃ…」
爆豪が何かを言いかけて、冷やしたタオルを俺に投げつける。
「早くそいつを直してやれ。」
アザを見たからなのだろうか。ツンデレ期か。
「そういえば亜依…帰ってこないね。」
亜依も出かけてたのか。じゃあ今どこにいるんだ?
試しに電話をかけてみると、女の子が持っていたカバンの中の携帯の着信が部屋に響く。
???
全員首を傾げて彼女をじっと見て見るが到底知り合いとは思えない。
「…携帯、見てみましょうか。」
蛙吹…それ犯罪じゃねぇのか?