第3章 悪夢の先へ
『はーーー…疲れた』
「お疲れ。」
ファッ!?
出久に入らせてもらったものの服は濡れているから着替えようとした瞬間これだ。
カードキーは私しか持っていないのになぜ?
「あれれ、カードキーが!とか思った?天才電気くんはたまたまドアの空いてた亜依ちゃんの部屋に予備のカードキーがあるのを発見しちゃったから借りたの。ね、恋人っぽいでしょ?」
バカか。いやバカだなこいつ。
『窃盗窃盗。先生に言いに行くわ。』
「まてっまてってば。返すから!」
『用がないなら出てって、着替えるから』
予備のカードキーを取り返し、電気を部屋から追い出そうとする。
へぇ…と嫌な笑いを見せ、近付いてくる。
「そういえば、腹減ったなぁ…なんか作ってよ」
『は?』
つくづく空気の読めない男だな。
「ほら、今日の当番瀬呂と芦戸だったんだけどゲテモノにしかならなくて皆亜依のご飯が恋しいとか言ってたから俺だけ独り占めしたいっていう」
『…自分で作れよって言いたいところだけどうちも食べてないから仕方なく作ってあげる。とりあえず着替えるから出てって』
「やだ!絶対見ないって約束するから。ここにいる!」
めんどくさいなぁ、さっさと着替えよ…
簡単なワンピースとかでいいか。
ちらっと見ても携帯に目がいってるみたいでこちらを見ていないみたいだ。
濡れた制服をハンガーにかけてエプロンを着用する。
「なんか新婚みたいだ…いっそ結婚しちゃう?」
『殺されたいの…?』
電気の対応が軽すぎて付き合う気にもなれない。
冷蔵庫の中身を見るとそれなりに材料があったのでまとまったものは作れそうだ。
オムライスにでもしようかな。