第2章 寮生活
STARTの合図と同時に電気が個性を発動する。
俺も必勝策を考えないと。
「何考え事してんだ、よッ!」
こいつ、いつの間に後ろに…!
背後にいた電気に殴り飛ばされる。
「亜依くん、大丈夫かな…」
「個性では上田くんの方が不利ではないか?」
さっきの衝撃で体が麻痺してる…。
誰かの個性をコピーしときゃ良かった。
帯電を反転させたところで何も生まれない。
何も策がないままとりあえず電気に殴りかかろうとするが、腕を掴まれてしまう。
『…ッチ』
「俺に勝とうなんざ100年はえぇ!」
体育祭であほ面だったやつが何を言う。
しかしここで放電されたところでしんどいのは俺だ。
『ほー。電気様は偉く余裕な様子で』
「このまま勝ってやる!」
腕に電気を流す作戦なのだろう。
思い切り引っ張って距離をとる。
『電気ー…油断は禁物だ。』
「へ…?」
真横の客席を見渡して飛び移る。
「てめっ!逃げる気か!」
敵に背中を向けたわけじゃねぇ。
誰を使うか…お。
『お茶子!手、出せ!』
「え!?う、うん!」
お茶子の手をタッチして個性を反転コピーする。
…反転!!
戻って地面をタッチする。
無重力の反対。有重力。
個性を使った瞬間、床に亀裂が走る。
「えっ嘘だろ!?」
その瓦礫を電気…の隣に投げつけて、近くへ移動する。
『終わりだ。』
「分かった分かった!降参するから!」
まじ呆気ないわー。てか、先生これ怒るんだろうな。
建物少し壊してるし。
周りはすげぇ目が点になってるし。
『終わったー。』
「…亜依。褒めてやるが、後でこれ掃除しろ。」
『あ、はい。』
やっぱりー(´;ω;`)
知ってたけど。
すぐ勝負終わってくそつまんなかったなー。
電気の一撃は痛かったけど。
みんなが帰る前に、お茶子に声をかける。
『お茶子、悪ぃな勝手に。…解除。』
まぁ実際は触れるところどこでもいいんだけど手が一番だよね。
「亜依くんかっこよかった!ま、また今度対戦お願いしていい?」
『あぁ。』
さて、掃除するか。