第9章 特別な1日 ( 大神 万理 2019生誕 )
千「それじゃ、僕はお寝坊さんを起こしに行ってくるよ」
「お寝坊さん?・・・わーっ!千、待て!そっちの部屋に入るな!!」
千「人間誰しも、ダメだと言われると余計にそうしたくなるのがカリギュラ効果だよ、万」
「こんな時に悟りを開くな!」
スタスタと歩き出し、まだ愛聖が眠るベッドルームのドアに手を掛ける千を止めようと、慌てて俺も駆け寄るもひと足遅く・・・
千「・・・万、僕からのプレゼントがお役に立てたみたいだけど?」
サイドテーブルに置かれたままのおサルさんの小さな箱をチラリと見て、千がクスクスと笑い出す。
「そうね・・・」
思わず出た言葉が、普段の千と同じことに気付いてため息が出る。
『ん・・・万理、なに騒いでるの・・・?』
ほら・・・千たちが騒ぐから愛聖が起きちゃったじゃないか。
眠そうな目を軽く擦りながら、愛聖がもそもそとベッドから起き上がる。
千「愛聖、僕からおはようのキスしてもいい?」
はぁ?!
『まだ眠いのに・・・でも、万理がしたいなら・・・いいよ』
いいわけないだろっ!
千「じゃ、目を閉じて?」
『ん~・・・』
寝起き過ぎて千と俺を間違えてるのか?!
チラリと千が楽しそうな視線を俺に向けながら、愛聖の頬に手を当てながら体を抱き寄せる。
「悪ふざけもそこまでに、」
『あれ・・・千?』
止めに入ろうと一歩を踏み出せば、さっきまで寝ぼけていた愛聖が急に覚醒する。
『えっ?なんで千?!』
グイッと千の体を押し返して、肌蹴たシャツを合わせて押さえる。
千「残念・・・あと少しだったのに」
「アホか・・・千。そういうのホントに勘弁してくれよ」
今日一番のため息を吐いてから、まだ状況が掴めていない愛聖に千はほっとけよ?と笑う。
「俺も驚いたんだけど、千と百くんが突撃して来たんだよ」
『っていうか・・・なんで急に?だって昨日はまだ千たちの撮りが残ってたはずなのに?』
徐々にハッキリと目が覚めて来た愛聖が、撮影のスケジュールを思い出していく。
千「今日の為にサッサと終わらせて、おかりんに車かっ飛ばして貰って帰って来たんだ・・・今日は万の誕生日だろ?そういう楽しい事は、僕も百も参加したいからね」