第9章 特別な1日 ( 大神 万理 2019生誕 )
ー ピンポーン!ピンポーン! ピンポーン!ピンポーン! ー
カーテンの隙間から光が漏れ出す頃、恐ろしい勢いでインターフォンが鳴り続ける音で目が覚める。
いったい今は何時だろうかと、ベッドサイドに置いたスマホで時間を見れば・・・
誰だよ、こんな朝早くから訪ねて来るとか。
まだ夜が明けたばかりじゃないか・・・
ひとつ欠伸をして愛聖を起こさないようにベッドから抜け出しインターフォンのモニターを付けてみれば。
なんだ?なんにも見えない・・・
昨日は愛聖が来た時にちゃんと外の様子が映っていたのに・・・おかしいな・・・?
モニターが壊れてしまっているなら、きっとインターフォン自体が故障して鳴り続けていたのか?と思いながらその場を離れようとすれば、それを察しているかのようにまたもインターフォンが鳴り出す。
あぁもう!なんなんだよ、いったい!
仕方なく玄関へと向かい、ドアを開けて見れば・・・
千「おはよう、万。いい朝だね」
・・・千?!
なんでこんな朝早くから千が俺の家に?!
爽やかさを全面に押し出すように立つ千に呆気に取られていれば、その千の後ろからひょこっと顔を出すもうひとつの顔。
百「バンさんモーニン!それからハピバ!」
・・・百くんまでいるのか?!
見知った2人の顔を交互に見て、ドアノブを持ち直して1歩下がる。
「・・・いろいろ間に合ってます」
何事もなかったかのようにドアを閉めようとすれば、すかさずドアの隙間に自分の体を滑り込ませる、千。
千「そうはさせないよ、万。優しい僕がこんな早起きしてここに来たのは、どうしてだと思う?」
百「早起きしてって、そもそもユキほとんど寝てないじゃん?」
千「まぁ、そうね・・・」
ほとんど寝てないなら、帰って寝ればいいだろうに。
「で?その優しい千が、ほとんど寝ないで俺んちになんの用だ?」
乾いた笑いを零しながら言えば、千はそれを聞かれるのを待っていたかのように微笑みを見せる。
千「もちろん、万の誕生日を祝いに・・・だよ」
「謹んでお断りします」
千「そう言わずに・・・じゃ、お邪魔します」
百「バンさんオレも!お邪魔しまーす!」
「あ、ちょっと2人とも!!」
有無を言わせぬ千の突撃に、ドアを閉めながら振り返る。