第9章 特別な1日 ( 大神 万理 2019生誕 )
千が仕掛けてくれた爆弾に、何となくお互いが無言になってしまう。
でも、それはほんの少しの時間で。
「そろそろ寝ようか?明日はスケジュールないんだろ?だったら朝寝坊しても平気だし。と、その前に、それ・・・片付けるよ」
愛聖の手の中にある千の爆弾のカケラを受け取ろうと、スっと手を差し出す。
『あの、ね?万理・・・これ・・・』
俯きながら愛聖がパッケージの封をゆっくりと開けていく。
「コラコラ、無闇に開けたりするもんじゃないよ。ほら、貸して?」
更に手を伸ばせば、愛聖はパッケージの中からひとつを取り出し俺の手のひらにちょこんと置いた。
「えっと・・・なに?」
リアルなパッケージを目の当たりにしながら、自分の手のひらに置かれた物と、それから愛聖の顔を交互に見る。
『つけて・・・くだ、サル?』
・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・・。
はぁっ?!?!?!
「き、急になに言ってるんだよ愛聖!そんな、えっと・・・」
今まで付けなかった事なんてないだろ?!とか自己確認してる場合じゃない!
『だって、千が・・・』
「いやいやいやいや・・・そうじゃなくて、千はこの際どうでもいいから」
はぁ・・・びっくりさせるなよ?なんて小さく呟きながら全てを受け取りテーブルに置いた箱にしまい込めば、俺の体に小さな衝突が訪れる。
「イタズラするなって・・・いまのは忘れて、もう寝よう」
背後から回された愛聖の腕に手を重ねて言えば。
『万理も明日は、オフ・・・なんだよね?』
「まぁ、そうだけど・・・でも・・・」
『だったら、今夜・・・いつもみたいに・・・優しくしてくれるなら、いいよ・・・』
ドクン、と胸の奥が大きな音を立てるのを感じながら振り返り、愛聖を抱きしめ直しながら甘いキスをする。
息苦しさに愛聖が俺のシャツをキュッと掴むのを肌で感じて、惜しげながらも唇を離して、また・・・抱きしめる。
『万理・・・』
胸元に顔を擦り寄せる愛聖が愛おしくて、そっと撫でる。
「キスの続き、してもいい?」
そっと囁けば、愛聖がコクンと頷く。
「じゃ、行こうか」
愛聖の体を抱き上げて、俺はベッドルームのドアを開けた。