第9章 特別な1日 ( 大神 万理 2019生誕 )
腕の中でクスクスと笑う愛聖を見て、なんて可愛い事を・・・とか思ってしまう俺も、どうなんだろうなと笑う。
『万理、ちょっといい?千や百ちゃん、それから社長からもプレゼントを預かってきたの』
スルリと腕から抜け出した愛聖が、スーツケースを開いていろいろな包みを俺の前に並べる。
ひとつずつ包みを開いていくと。
社長からのプレゼントは、社長が選んでくれたんだろうセンスのいいシャツとネクタイが。
百くんのは、いろんな地方の地酒セット。
そして・・・
『これが千からのだって。なんかかさばるけど頑張って使ってね?って言ってたけど、何が入ってるんだろうね』
かさばる?
使ってね?
・・・実用品って事なのか?
手渡されたひときわ大きな箱に結ばれたリボンを解き、千が俺に?なんて思いながら、その蓋を開けば・・・
「うわっ・・・なんだこれ!」
『え?!なになに?なにが入ってたの?』
「ダメ!見ちゃダメ!」
ひょこっと中身を覗こうとする愛聖からそれを阻止するように箱を高く掲げれば、愛聖は余計に興味津々といった感じで箱を覗こうと背伸びをしたり、ぴょんぴょんと跳ねる。
「だからダメだって!」
『なんで?いいじゃん別に見せてくれても!…えい!』
「あっ、バカやめろって!!」
愛聖の指先に弾かれた箱が宙を舞い、それをキャッチしようとした俺の手にも弾かれて・・・中身をばら撒きながら床へと着地する。
『なんだか小さな箱がたくさ・・・あっ・・・』
足元に転がったひとつを愛聖が拾い上げて、途端、顔を赤くする。
千から贈られた物は、いわゆる、その・・・明るい家族計画・・・的な物で。
って言うより。
なに考えてんだよ千はっ!!!
『千は、頑張って使ってね・・・って言ってたけど・・・』
「あはは・・・そうだね」
もう、俺は笑うしかない。
掻き集めるように ‘ それら ’ を箱に戻してから、最後に愛聖の手の中にある物のパッケージに目を落とす。
「つけてくだサル?・・・って、ダジャレかよ・・・」
おサルさんのデフォルメイラストが、胸元でハートを抱きしめ・・・それが尚更ダイレクトだなと苦笑しながら、千がどんな顔して買い集めたのか想像してみる。
千の事だから絶対、通販だな。