第9章 特別な1日 ( 大神 万理 2019生誕 )
『それはね・・・あ、続きを見て?』
ほらほら、と画面を指差す愛聖に促されてテレビを見れば。
的確に現場で指示を出す千の姿と。
続けて部屋に入って来る捜査員に怪我の状況を確認されて応急処置をされる愛聖。
そしてカメラがグッと引かれて、向かいのビルの屋上から、全てを見ている・・・百くんが映し出されていく。
「百くんまで出てる・・・特別出演だったのか?」
最後の最後に次々と現れる予想外の人物から目を離せずに言えば、愛聖がふふっと笑う。
『このドラマ、実はRe:valeが主演する映画に続いてるんだって。だから私と二階堂さんが出てる、言わばスピンオフドラマには、最後まで出演が隠されてて。あ、でも、撮影現場には時々来てたんだよ?千も百ちゃんも』
「そうなのか?だって出演はしてなかったんだろ?」
『そうだけど、自分たちが出演する映画へと続く作品だから気になってたんだって。差し入れとかいろいろ持ってよく見に来てたよ?あと、二階堂さんは千に構われてめんどくさいって笑ってたけど』
はは~ん・・・それはきっと、それを口実に愛聖や大和くんを構いに来てたって事だな?
っていうか!
絶対それ千は愛聖狙いで来てたんだろ!
『暑い日に凄く冷やしてある王様プリンとか千が持って来てくれて、冷たーいプリン美味しかったぁ・・・』
「王様プリンで買収されるとか、環くんみたいだな」
『特にこの最終回の撮影の時って暑くてさ?なのに私とか全力で走ったり、ビルの階段を駆け上がったりするシーンが多くて・・・死ぬかと思ったんだよ?そんな時に千が冷たくて甘い差し入れくれたから嬉しかったなぁ』
「あ~、はいはい。そうですか」
何となく千の話を嬉しそうにする愛聖に素っ気なくしてしまう。
『あれ?なんで怒ってるの万理?』
「別に怒ってないけど」
『・・・怒ってるじゃん。あ、そうだ!万理もきっと王様プリン食べたら機嫌直るよ!さっき買ってきたやつ冷蔵庫入れてあるから持ってくるね!』
「ちょっと待った!」
パッと体を離して立ち上がろうとする愛聖を引き寄せ、腕の中に閉じ込める。
「どうせなら、王様プリンよりも甘くて美味しいやつ・・・くれない?」
『王様プリンよりも甘いのって、なに?』
「それはね」