第9章 特別な1日 ( 大神 万理 2019生誕 )
見てる途中で驚きのあまり、つい、声を漏らしてしまう。
だってテレビの中では・・・愛聖をグッと引き寄せた大和くんが、 そのままの勢いで唇を重ね、驚いた愛聖の一瞬の隙をついて愛聖の腕を掠める様に撃ち、そして愛聖が持つ銃の引き金を引いた。
2つの大きな銃声のあと、ゆっくりと、愛聖に体を預ける大和くんと。
体を硬直させながらも、大和くんを抱き留める愛聖の姿が大きく映し出されていく。
「な、んで・・・・・・どうして!!」
大和くんの体を抱きしめたまま床にへたり込む。
「これで、いい・・・んだ。お前は、何も・・・悪、く・・・ない。あぁ・・・そうだ・・・」
ハァハァと苦しそうな呼吸をしながら、大和くんが赤く染まっていく胸元からひとつの包みを取り出して開ければ、そこにはキラリと光るネックレスがあって。
「もうすぐ・・・誕生日、だったよな・・・お前に、やるよ」
そう言って大和くんが、愛聖に手を伸ばしてそれをつけてあげるシーンがアップになって。
「そ、んな顔・・・するな。真っ当な・・・金で、用意した、から・・・」
『そんな事はいいから・・・それよりもう、喋らないで。すぐに救護班を呼ぶから』
インカムを引き寄せる愛聖を手を払い、大和くんが切ない瞳で見つめる。
「時間が、ないから・・・よく聞け、よ。お前は・・・オレに撃た、れて・・・驚いて、トリガーを引いた・・・だけだ。わかった、な・・・」
『ダメだよ、そんなの・・・』
「いいから、言う、通りに・・・しろ・・・もう、時間がな、い・・・から、これだけは、言わせて、くれ・・・お前を・・・」
そこで全ての音声が一瞬止まり、大和くんが伸ばした腕で引き寄せられた愛聖の顔がクローズアップされる。
耳元で大和くんが何かを伝え。
それを聞いて、大きく目を開いて瞳を揺らす愛聖。
そして・・・それを見て穏やかな微笑みを見せながら、大和くんが静かに息を引き取ってしまう。
その直後に銃を構えながらドアを蹴破って入ってくる、千。
「えっ?!なんで?!千もいたの?!前回までに1度も出てなかったよね?!」
突然現れた見知った人物に、またも驚きの声を上げてしまう。