第9章 特別な1日 ( 大神 万理 2019生誕 )
テレビをつければ、ちょうど愛聖がこの間まで撮影してたドラマが始まって。
『万理、他のにしようよ?』
「なんで?別に自分が出てるのを客観的に見るのもいいんじゃない?それに今日が最終回だし」
『そうかもだけど・・・う~ん・・・』
そこまで言って愛聖がスっと俺から視線を離す。
「このドラマ毎回見てるから続きが気になるし。それに大和くんとも共演してるじゃない?」
『でも、この回って』
「しーっ!ネタバレ禁止だよ。ほら、おいで?ここで一緒に見よう」
ローソファーに先に座って、自分の足の間にポスンと愛聖を引っ張り込む。
『なんか・・・今日の万理って甘えん坊さんが炸裂してる?』
少しだけ困り顔を見せながら振り返る愛聖に微笑みだけ返してテレビへと視線を移す。
ドラマの内容は、大和くんが政府に恨みを持つテロリスト集団の一員で。
愛聖はそれを調査している公安警察の人間で。
ある時、お互いの素性を知らずに2人は出会って恋に落ちる。
けど、そんな幸せな時間は長くはなく・・・公安がアジトを突き詰めた時、お互いの置かれている立場に気付いてしまい、向き合う事になる。
・・・と、ここまでが前回までの話で。
「どうして貴方が・・・・・」
「お前こそ、なんでそんな物騒な物を」
動揺を隠せない2人が対峙して、緊迫した空気が漂う。
「まさか貴方が・・・そんな・・・嘘、でしょ・・・?」
切ない顔をした愛聖が、それでも真っ直ぐ大和くんを見つめれぱ、大和くんは懐から出した銃を愛聖に向けた。
「・・・撃てよ。じゃなきゃ、オレが先に撃つぞ?」
瞳を大きく揺らしながらも、愛聖は首を横に振る。
その瞬間、ひとつ銃声が響いてガラス窓が派手に砕け散る。
「やめて!」
「やめない。ほら、早く撃たないと」
またひとつ、更にひとつと銃声が響き、周りにある物が砕けながら吹き飛んで行く。
そして大和くん扮するテロリストが、愛聖の目の前まで来て・・・銃を持つ愛聖の手を掴んで自分の胸へとその銃口を当てた。
「なに、するの?!やめて!離し、」
「えっ?!・・・そんなの聞いてない・・・」
『だから、他のにしようって言ったのに・・・』