• テキストサイズ

〖 IDOLiSH7 〗カラフルパレット

第9章 特別な1日 ( 大神 万理 2019生誕 )


でも、今夜は。

少しくらいなら、いいよね?

そう・・・ほんの少しだけ、愛聖の温もりを独り占めしたい。

子供の頃から見守り続けて来た小さな後ろ姿に歩み寄り、そっと抱き締める。

『あ、ちょっと万理?まだ髪を冷風に当ててないから暑いよ?』

「むぅ・・・」

『むぅ・・・って』

ドライヤーを止めた愛聖がクスクスと笑いながら、その鏡越しに俺を見る。

「貸して?たまには俺がやってあげる」

『じゃあ・・・お願いします』

はい、とドライヤーを手渡され冷風のスイッチを入れて髪を靡かせる。

絹糸のような滑らかな髪が指に触れる度に、なんとも言えない心地良さが伝わって来る。

だけど、ちょっとした問題も発覚して思わず息を飲んでしまう。

風に遊ばれる髪の隙間から、チラリ、チラリと現れる愛聖の細い首筋。

普段はこんな角度から見ることなんてないから、そんな事すら余計に気持ちを高揚させていく。

『万理?どうしたの?』

「あ、いや・・・なんでもないよ。はい、出来上がり」

ありがとう、とにこやかな顔でドライヤーを受け取る愛聖を、もう一度だけ後ろから抱きしめる。

『あ、もう・・・また』

「だって・・・」

俺には今、お前が足りないんだよ・・・と言いかけて、やめる。

『ホントにどうしたの??』

いっそ全てのモヤモヤを吐き出せてしまえたら、満たされるものがあるんだろうか。

そんな事を思い浮かべながら愛聖から体を離して、テレビでも見ようか?なんて笑ってみせる。

『変な万理。でも、もう少しだけ・・・待ってて』

「待ってて?って、なにを?」

リビングへと続くドアを抜けながら振り返れば、今度は愛聖がなんでもないよと笑った。





/ 153ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp