第9章 特別な1日 ( 大神 万理 2019生誕 )
俺たちの関係を社長に承諾して貰う時に、走り続ける事が出来なくなるまでは女優業を続けて欲しいって言うのが、社長の承諾の条件で。
愛聖自体もそれを望んでいたから、そこはスンナリと話は纏まって。
そして俺は、その約束を見届けた。
けどなぁ・・・やっぱり俺がいない所で千や百くんにジャレ構われてると思うと、気が気じゃないよ。
もちろん、俺たちがカップル成立!って話した時には、千も百くんも喜んではくれてたけど。
でもあの2人は・・・いや、特に千だな。
ところ構わず愛聖を見かけてはハグしたり、挨拶代わりだと言っては頬にキスして見せたり。
・・・俺がいてもね。
千は昔から愛聖の事が気に入ってたし、俺に対しての宣戦布告か?!とも思った事はあったけど。
それでも俺が姿を消した時からずっと愛聖のそばにいたのは千だし、とか思って片眉をピクリとさせながらも笑ってた。
そういえばさっき、社長はどうしてこの日にしようって決めてたんだ・・・なんて言ってたんだ?
明日って、なにかあったかな?
アイドリッシュセブンのスケジュールは・・・社長が直々に同行するとか言ってたし。
MEZZO"も収録が終わり次第、アイドリッシュセブンの現場に合流するし。
本来MEZZO"のマネージャー補佐は俺だけど、壮五くんがしっかりしてるから大丈夫だし、合流先には自分もいるからって社長が面倒見るとか・・・
ん~・・・?
じゃあ、なんで明日限定なんだ?
どうにも気になって足を止め、鞄から手帳を取り出し開いてみる。
「あ、これか・・・」
明日の日付には、前に俺が細々とした予定を書き込んている時に愛聖がイタズラして貼り付けたハート型のシールが貼ってあった。
俺の、誕生日の場所に。
社長は俺の素性は全部知ってるから、きっと気を使ってくれたんだろうけど。
いや、それはありがたいんだけど。
俺、誕生日をバンザイして喜ぶ年でもないんだけどな。
「ま、いっか。せっかくだし、買い物しながらケーキでも買って帰るか・・・今夜は1人だけど」
そうと決まれば、夕方のおば様方にもみくちゃにされるのを覚悟してこれから先の数日分の買い物もしちゃう?
帰ったら作り置きをして、冷凍して・・・なんて考えながら、やっぱり主夫だな、俺は。
そう、小さく笑った。