第9章 特別な1日 ( 大神 万理 2019生誕 )
「社長、今日の業務は全て終了です」
小「いつもありがとう万理くん、お疲れ様」
デスクのパソコンの電源を落としながら社長に言えば、社長は紡さんのデスクに座りながら穏やかに微笑みながらきなこを撫でる。
「あの、社長・・・ホントにいいんですか?」
小「ん?なにが?」
「いえ、明日の事ですけど・・・別に俺、休みだなんて」
戸惑うように言えば社長は微笑みを崩すことなく、いいんだよ?と返す。
「でも、明日もいろいろと仕事があるはずなのに?」
俺の仕事はそう大したことはないけど、経理の締めの作業とか、他にもいろいろあるのに。
小「気にしなくていいんだよ、万理くん。キミは普段から凄くよく働いてくれてるから、たまには僕からプレゼントって事にしといてよ~?ね?」
ね?って、そんなニコニコ顔で念を押されたら、俺はもう返す言葉も見つからないっていうか。
「だけど、ホントに急なお話でしたけど・・・」
小「そう?僕は前々からこの日にしよう!って決めてたけど、あの子たちのスケジュール事情によっては上手く回らないかと思って、ギリギリまで様子を見てたんだよ。ゴメンね万理くん」
「そこは気にしてませんから大丈夫ですよ、社長。せっかくなので、有難くのんびりと1日を過ごします・・・日頃なかなか出来ない場所の掃除も出来るし」
フッ、と笑って言えば社長も主夫だなぁなんて言いながら同時に笑い出す。
「あ、もし何か急用があったら携帯は常に電源入れておきますから、遠慮なくお願いしますね?それじゃ、お先に失礼します」
いつもの様に丁寧に社長に頭を下げて、事務所から出る。
何気なく見上げた空は、夕暮れ時そのものであるカラーを纏いだしていて、思わず口元が緩んでしまう。
「この感じ、明日もきっといい天気だな。それなら朝からシーツやタオルケットを洗って、それから窓を全開にして大掃除ってのも悪くない。うん、そうしよう」
不意に飛び込んで来た休暇の予定を立てながら、歩き出した。
社長公認の恋人である愛聖は、数日前から紡さんにマネージメントされながら、Re:valeとの映画の撮影があって地方ロケでいない。
せっかくの休みなのにな・・・なんて思いながらも、愛聖はアイドリッシュセブンと肩を並べる我社切っての稼ぎ頭だから、それも仕方ない。