第7章 俺って、エロ担当らしいよ ( 四葉 環 )
「MEZZO"さん、お疲れ様でした!」
「おー、ホントに疲れた」
壮「環くん!···すみません、お疲れ様でした」
そーちゃんと一緒にMEZZO"の収録が終わって楽屋に戻ると、マネージャーと一緒にバンちゃんがいた。
壮「あれ?万理さんは今日、愛聖さんに付いてたんじゃないんですか?」
「だよな。俺もいま同じこと思った」
万「もちろん愛聖に付いてるよ?でも今日の撮影は、偶然にもMEZZO"が収録してたスタジオのふたつ隣なんだよ。だから、ちょっとこっちの様子を見に来てたんだ」
ふぅ~ん、マリーと同じ場所だったんだ。
全然知らなかったし。
「バンちゃん、マリーはちゃんと練習出来てんの?」
確かに撮影の合間に練習するとか言ってたけど。
万「頑張ってるよ。だいぶ乗れるようになったし、環くんの特訓のお陰かな?そうだ、二人は今日はこれで終わりだったよね?もし良かったら、愛聖の撮影を見学してく?」
壮「え、いいんですか?」
万「大丈夫だよ。監督さんは社長の古くからの知り合いだし、オレもMEZZO"の所に顔出して来るって伝えてあるから」
「···行く。どれくらいマリーが乗れるようになったか知りたいし」
紡「じゃあ、お言葉に甘えてみんなで見学に行きましょうか」
「じゃ、決まり。早く行こーぜ」
みんなでマリーが撮影してるスタジオへ行くと、まだ撮影中なのかバンちゃんが静かにね、ってそっとドアを開けた。
「カッート!ダメダメ愛聖ちゃん···疲れてきたのは分かるけど、ここはずっと会いたい人がやっと来たって感じで嬉しそうに笑ってくれなきゃ!」
『すみません!もう一回お願いします!』
マリーが怒られるとか、珍しくね?
いったいどんな撮影してんだ?
「カメラ回しまーす!3・2···1···」
作られた背景のなかで、マリーがスケボーを抱きしめながら遠くを見たり、空を見上げたりして···
俺はもっとマリーの演技が見たくて、スタッフの間に体を滑り込ませてカメラの後ろから顔を出した。
ちょうどその時、マリーがカメラを振り返った。
俺と目が合って···なんかちょっとだけ嬉しそうに、ふわふわの笑顔で···笑った。