第7章 俺って、エロ担当らしいよ ( 四葉 環 )
「マリーって、スポーツ苦手?」
『苦手っていうか···スケボーはやった事ないし。でも、せっかくだからスタント使ったりしないで自分で乗れたらなぁ、とか、思ったんだけどね···やっぱり私にはムリなのかなぁ』
ため息をつきながらシュンと小さくなるマリーが、なんか、カワイイ。
「乗りたいんなら、俺が教えてやっから」
『ホント?!』
「おぅ、じゃあ今日から特訓な。バンちゃんはもう事務所帰っていいよ」
万「二人とも、くれぐれもケガだけは気を付けてね?一応、救急箱はここにあるから」
「うぃっす」
さて、と。
「マリーはとりあえず、板に乗るところから練習しないとダメな?」
『はい···頑張ります』
滑れるようになるには、まず板に乗れないと···だし。
「あのさマリー、とりあえずひとりで乗れなきゃどうにもなんねぇじゃん?だから、今から特訓な」
『え?と、特訓?!』
「おぅ、特訓。ってコトで、乗ってみ?転びそうになったら俺が何とかすっから心配すんな」
分かった···と言って、マリーがボードにゆっくりと乗る。
でもやっぱり、上手くは乗れなくて。
『ちょっ、わっ!』
「あぶねっ!」
しがみつかれる感じで、グラグラして終わる。
『やっぱり、ムリなのかなぁ···』
「出来なかったら、仕事なくなるってヤマさん言ってた。だから、俺が教えるから」
マリーは、前の事務所で仕事なくなったから辞めさせられたって聞いた。
いまのボスがそういう人じゃないのは分かってっけど、でも、またそんな風に仕事が来なくなってマリーがいなくなったら。
俺、ヤダし。
「もっかい、頑張れ。このまんま俺に捕まってていいから」
その日から毎日、暇さえあればマリーの特訓に付き合った。
マリーは練習しながらもCMのスケボー以外の撮影があるから、時々仕事で練習時間なくなるのが嫌だって言って、撮影場所にもスケボー持ち込んで練習してた。
俺いないのに、どうやって練習してんのかと思ったけど、そん時はバンちゃんが俺の代わりに見てるって言ってた。
あと、ちょっとは乗れるようになって来たとかも言ってたけど。
ちょっとって、どんくらいだろ。