第7章 俺って、エロ担当らしいよ ( 四葉 環 )
『あ、待って!まだ離さないで!』
ん~?
万「離さないでって言われても、離さなきゃいつまでもひとりで乗れないだろう」
『まだ離しちゃダメなの!』
万「はいはい···」
寮の中庭からマリーとバンちゃんの声が聞こえて窓から覗いてみる。
大「なんの騒ぎかと思ったら」
「ヤマさん、あれ何してんだ?」
俺の横から外を覗くヤマさんに聞いてみる。
大「あぁ、アレな。愛聖が今度スポーツ飲料のCMでスケボー乗らなきゃいけないんだって。ほんの数秒のカットなのに、ちゃんと乗れるようになりたいとか言ってたぞ?」
ふ~ん?
でも、全然乗れてねぇじゃん。
「それって、乗れなかったらマリー困んの?」
大「さぁな。でも、そのCM撮る監督からは仕事来なくなるだろうな」
それってマリーもボスも困るヤツじゃん。
スケボーくらい、簡単なのに。
なんでマリーは乗れないんだ?
王様プリンの最後のひと口を食べながら、へっぴり腰のマリーを疑問に思う。
「あ、コケた」
大「コケたな」
『もう!万理が手を離すから!』
万「俺のせいかよ···ほら、立てる?ケガはない?」
···ま、スケボー乗れなかったら困るなら仕方ない。
「ヤマさん、俺ちょっと行ってマリーに乗り方教えて来る」
大「タマはアレ、乗れんのか?」
「任せろ、超簡単だから。ヤマさん、これ頼む」
王様プリンの瓶とスプーンを渡して、俺は靴を履き替えて外に出た。
「マリー、ちょっとそれ貸してみ」
『四葉さん、スケボー出来るの?』
「ヤマさんにも聞かれたけど、超簡単。あとバンちゃん教え方ヘタクソ」
万「あのねぇ環くん?教え方も何も、愛聖が全然手を離さないから教える域まで到達してないよ」
マリーからボードを受け取り、そのままひょっと乗ってみせる。
「な、簡単だろ?」
スルーっと滑らせマリーのところに戻って来ると、なんか良くわかんねぇけどマリーが凄い!と拍手してた。
『四葉さんって、何でも出来て凄いね!運動神経良すぎ!···羨ましいなぁ···』
万「あはは···愛聖はダンスとか頑張ってるけど、こういうスポーツっぽいのは、ねぇ···」
『万理···怒るよ』
もう、怒ってんじゃん。