第6章 秘密のKISS (2019.2.14 大和 生誕)
いや、犠牲者ってのは聞こえがよくないな。
一応、料理男子の万理さんが着いてたんだろうし?
味見て?とか言われて、少なからず1度位は口に入れたんだろうから、いまの万理さんのこの感じからして、イチが言うところの健康被害はないってコトだよな?
「万理さん。ちょっと聞いてもいいか?」
万「ん?」
「昨夜、愛聖は万理さんとキッチンを使った···よな?」
万「まぁ、そうだけど?でも、愛聖がなにを作ったのかは俺からは言えないけど」
···あれだけチョコの匂いがしてたら、誰だって想像はつくけどな。
「あ、味見は?」
万「味見?俺はしてないけど、愛聖が自分で味見して、悩みながらいろいろやってたけど」
終わった···オレの人生。
神よ···早々と俺をそっちに呼び寄せるのはやめてくれ。
「万理さん···もし、もし俺の身になにかあったら···アイツらの事は···頼む···」
万「言ってることがよく分からないけど、とりあえず頼まれておくよ」
「よろしく頼むわ···んじゃ、俺はアイツらに話すことがあるから、万理さんは愛聖を起こして連れて来てくれ···飯はミツに言って2人分用意させとくから」
じゃ···と背を向けて、みんなが待ってる所へとフラフラと戻る。
まさか、ターゲットはオレだったとは。
いや待て。
もしそうなら···どっちだ?!
バレンタイン的なやつなのか、それとも···誕生日ってことを知ってて、とか?
どっちにしても、オレってもしかして、もしかするのか?!
バレンタインだとしたら、アイツら悔しがるだろうなぁ。
タマは絶対大好きだとか豪語してたし。
ナギはまぁ···あんな感じだし?
ミツやソウは、別段顔色は変えずともチョコは欲しいハズだ。
リクだって、同じだろう。
あとは···イチだな。
なんだかんだキツめに物事を言いながらも、結局は影でこっそり喜びを噛み締めるタイプだしな。
アイツらになんて説明しようか。
なんて、自分優位な想像を膨らませ切ったオレは、直後···ガックリと肩を落とすことになる。