第6章 秘密のKISS (2019.2.14 大和 生誕)
「ちょっと、オレがどんな状況か様子を見てくるよ」
···そう言って愛聖の部屋の前までは来たけど。
いきなりドアを開けるのは大人としてダメだよな?
タマなら···まだ許されるかもだけど。
「あ~···コ、コホン···愛聖、開けるぞ?起きてるか?」
とりあえずの声を掛けてドアノブを掴む。
「いいか?ホントに開けるぞ?」
カチャリと静かに音を鳴らしながら、ドアを開けば。
そこにはひとつのベッドに···まるで抱き合うようにして眠る愛聖と万理さんがいた。
「これは···完全アウト、だろ···って」
思わず声に出てしまった言葉ごと、口元を押さえる。
どうする、オレ!
落ち着け、オレ!
とりあえず···タマとソウを含めて、なにも見なかった事にしておくか?
と、なれば。
まだ2人が目を覚まさない内にアイツらにも口止めしないと!
そう思って部屋から出ようと振り返れば、目前には閉じかけたドアが見えて···時、既に遅し。
「イッ···!!!」
思い切り足の小指をぶつけ、その場に蹲る。
なんて···なんてツイてないんだ、オレは!
万「あ、れ···?大和くん、愛聖の部屋でなにしてるの?」
う~ん···と背伸びをしながら言う万理さんを振り返り、それはこっちのセリフだと返して、それまでの経緯を説明すれば。
万「アハハ···それはみんなの思い違いだって。俺と愛聖だよ?それに寮に泊まるって事は社長にも報告してあるから」
「愛聖の部屋にって?」
万「最初はリビングのソファーにいたんだけど、愛聖が気になって寝付けないからって、まぁ、ここに?」
そんな理由で納得して同じベッドにとか、ないだろ。
万「あ、ご心配なく。ちゃんとほら、服は着てるから」
「あのねぇ···」
ご丁寧に布団まで巻くって、爽やかに笑ってる場合じゃないでしょうよ。
万「それより大和くん···胃腸は丈夫?」
「胃腸?まぁ、一般人くらいなら?」
万「なら、大丈夫だね。良かった良かった!」
胃腸···?
この今朝からの流れで、万理さんが泊りがけで?
オレたちの知らない間にキッチンが使われて?
そして、オレの胃腸の調子を確認されるとか···
犠牲者はオレ?!?!
「ウソだろ···」