第4章 一織には負けねーからな!! ( 和泉 三月 )
そうなるとちょっと、我が弟ながら厄介だ。
壮「愛聖さんは熱が高過ぎて、甘えん坊状態らしいです」
壮五~?!
一「甘えん坊···ですか。それはちょっと、気になりますね」
ほら!
一織が反応してるじゃんか!
一「佐伯さんは今どうしているんですか」
「···部屋で拗ねてるよ。病院行きたくないってな」
そこまでバレたなら、もう誤魔化すのは逆に変だ。
一「···私が説得します。行きましょう兄さん」
だ~か~ら~!
一「それから、何かの為に人手は必要ですね。逢坂さんも一緒に行きましょう」
壮「え、僕も?···分かった」
いやそこは分かんなくていいっての!
物分り良すぎだろ壮五!
後で怒られても知らないぞ、オレは。
一「兄さん、置いていきますよ?」
「だぁ!分かった!分かったから先に行くな~!」
ヒラリと身を翻して廊下へ出て行く一織を追いかけ、後に続く。
···頼むから愛聖、普通にしててくれ。
そう願うも虚しく、ドアを開けると···
万「ほら、愛聖。社長が病院に連絡してくれたんだから行かないと」
『ヤダヤダ~!行かない~!』
万「そんなこと言ってもダメ。ちゃんと診て貰って早く治さないとだよ?」
『病院ヤダよぅ~···万理のバカ~!』
万「バカって···」
···脱力するような光景が繰り広げられていた。
壮「これは···レアな姿、ですね」
一「えぇ、普段の姿からは想像がつかない···カワイイ姿···」
一織の構い倒したいスイッチがオン···された。
「愛聖、喉乾いたんだろ?ほら、常温のスポーツドリンク持ってきたから飲んどけ?」
ペットボトルのキャップを外してストローを挿してやり口元に寄せてやる。
「三月さ~ん···万理が···万理がイジワルするぅ」
万「あのねぇ···全く、熱が高すぎて自分でも何言ってるか分からないんだろうな」
「だろうなぁ···一織が子供の時に高い熱出してこんな風になってた事あったしなぁ」
あの頃の一織は可愛げあったのに、今は···こんなだもんなぁ。
チラッと一織を見れば、さも自分はそんな事なかったかのように···
一「兄さんの方が可愛かったですよ」
「うっせー黙れ!···オレに可愛さは必要ないんだよ!」
これだもんなぁ。