第4章 一織には負けねーからな!! ( 和泉 三月 )
ほどなくして万理さんとマネージャーが来て愛聖の様子を見てくれた。
着替えとかはさすがにオレや万理さんじゃ···いろいろ問題あるからな。
万「39.8℃···」
検温した万理さんがその数字を見て眉を寄せる。
紡「夜間診療をやってる病院がありますから、社長に連絡して来ます。昔からお世話になってる所なので、社長に連絡して貰った方がいいと思います」
万「そうだね、お願いします。俺は車の用意をしてくるから、三月くん···その間ここを頼んでもいいかな?」
「おぅ、いいぜ」
快く返すと万理さんは慌ただしく部屋を出て行った。
「それにしても我慢しすぎだろっての···」
浅く早い呼吸を繰り返す愛聖に、ポツリと呟く。
『病院ヤダよぉ···三月さん助けて···万理がイジワル···』
あ~···熱が高過ぎてなにがなんだか分かんなくなってんだろうな。
普段の愛聖なら絶対言わねぇよな、こんなの。
「病院行ってちゃんと見て貰えって。そしたら熱なんかすぐ下がるだろ?あと飯な。食わなきゃ体力持たねーぞ?」
『三月さん···喉乾いた···』
「はいよ。じゃ、ちょっと待ってろよ?」
涙目の目元を軽く撫でてやり、とりあえず部屋を出てキッチンへ向かった。
壮「あ、三月さん。愛聖さんの様子は?」
「万理さん達がこれから病院連れてくって準備中。で、愛聖が喉乾いたっていうからオレは飲み物を取りに来た。高い熱でなんだか甘えん坊状態になってるよ」
壮「甘えん坊?」
「そう。病院やだぁ、助けて~ってな。なかなかレアな姿だけどな」
まぁ···見ようによってはカワイイっつうか。
一織が見たら、しこたま構いたくなる状態だな、ありゃ。
あとナギも近づけたら危険だな、うん。
あと···おっさんも、だな。
陸は···風邪ひきには近付けらんねぇし。
環は···騒ぐから論外だな。
待てよ?
環くらいのガタイがあれば車まで運べ···いやいやいや。
オレだって男だぞ!
愛聖くらい、ひょいっと軽々と運んでやれる!
一「兄さん、ペットボトルを握り締めて何してるんですか?」
ゲッ···一織···
「いや、愛聖が熱出してて。まぁ、ちょっといろいろだなぁ」
あれを話せば、一織は絶対着いてくる。