第4章 一織には負けねーからな!! ( 和泉 三月 )
今日の夕飯はコレでよし!っと。
クリームシチューに、サラダにパンにご飯!
パスタも付けたし、文句は出ないだろう。
手際よく皿を出して並べて、あとは···
壮「三月さん」
「おー、壮五!いい所に来た。夕飯出来たから皿とか並べるの手伝ってくれ。おい!そこのお前らもだぞ!で、いま壮五なんか言わなかったか?」
壮「いま愛聖さんに借りてたDVDを返しに部屋に行ったんだけど、愛聖さん具合いが悪いみたいで」
「マジで?」
そう聞き返すと壮五はどうしてか分かんねぇけど、伏せ目がちに頷いた。
壮「どう見ても高い熱がありそうなのに、死なないから大丈夫だって言い張ってて。一応、三月さんに相談しようかと思って」
あ~···アイツ妙な所で意地張るからなぁ。
自分が弱ってる姿を見せたくないっつーか。
そういう感じのトコ、一織と近いものがあるんだよなぁ。
「分かった、オレがちょっと様子見て来るから壮五ここ頼むわ」
脱いだエプロンを壮五に放って、愛聖の部屋へ向かった。
「愛聖、入るぞ?」
軽くノックをして、静かにドアを開ける。
『三月さん···?』
ベッドから起き上がり、虚ろな目でオレを見る愛聖は···ひと目で高い熱がありそうだと分かるほどだった。
「壮五に聞いたぞ?熱、あるんだって?」
ドアを閉めながら近寄れば、愛聖は大丈夫だからと小さくクビを振る。
『この前のライヴの時に雨に濡れて、ライヴ終わってからゾクゾクするなぁって』
「はぁ?!じゃ、そん時から具合悪かったのか?なんで早く言わねーんだよ」
『具合悪くはないよ、ちょっと風邪っぽいだけ』
いや、それを具合が悪いと言うんだぞ?
「薬は飲んだのか?それとも今から病院は···やってないか···」
『大丈夫!元気だから!ほら、』
力ない腕を振り回し、ベッドから降りようと立ち上がって見せる···けど。
「あ、おいっ?!」
その体はグラリと傾き倒れて来る。
咄嗟に抱きとめたものの、結構熱い。
相当な熱の高さじゃねぇのか?
この場合、やっぱ万理さんに連絡した方がいいだろうな。
もしも仕事とか入ってたら、困るだろうし。
片手で抱きとめたまま、ポケットからスマホを出して万理さんに連絡を入れると、すぐに様子を見に来ると言われた。