第3章 お兄さんこういうの苦手なんだよ ( 二階堂 大和 )
倒した愛聖の体に馬乗りになり、両手を押さえ付ける。
ー やめて···お願い··· ー
涙を浮かべて抵抗する愛聖のブラウスに手をかけ···引き裂く。
露わになった白い肌に顔を寄せ、ペロリと舐める。
ー この肌にオレの痕跡を残したら、アイツはどんな顔をするんだろうなぁ? ー
ー お願い···何でも言うこと聞くから、離して··· ー
ー 何でも?へぇ···じゃあ、このままオレに抱かれとけよ ー
肌を隠す残りの生地を引っ掴み、全てを露わにす···る···
「カーット!!···二階堂君、そこで躊躇ったらダメだって何度も言わせないでくれよ」
監督からのストップがかかり、カメラが止められる。
「すみません···」
「今回の君の役どころは、千の恋人役を無理やり抱いて復讐を計るって言っただろ?」
「はい···分かってます」
分かってはいるけど、相手が普段から身近に居すぎてやりづらい。
まったく···お兄さんこういうの苦手なんだよ。
愛聖はケロっとしちゃってんけど。
「千さん入りまーす!」
うっわ、しかも面倒なのが来ちゃったよ。
『二階堂さん、大丈夫ですか?』
こっちも来たか···
追加のブラウスを用意するまでの間、スタッフからバスローブを着せられた···ちょっと艶めかしい姿の愛聖が顔を覗いて来る。
「まぁ、何とか」
『昨日の本読みでは何ともなかったのに、どうしちゃったんです?私なら大丈夫だから、思いっきり無理やり抱く方向で構いませんよ?』
無理やり抱く方向でって、どんなだってーの!
それが出来てたら何テイクもしてないってのよ!
千「ちょっと。無理やり抱いてとか、聞き捨てならないんだけど?」
『千···?あくまで撮影のことだってば』
「来たな···これはまた随分とお早いお付きで?スーパーアイドルのRe:valeさんは、自家用ヘリで移動ですか?」
嫌味たっぷりな口調で言えば、千は軽く笑って受け流した。
千「僕が早く来たんじゃなくて、誰かさんの撮影がとっても押してるって聞いたけど?」
誰だコイツにそんなこと正直に話したヤツは!
「誰に聞いたのか知らないけど、別に、」
千「万、だけど?」
万理さんかよっ!
···万理さんめ、何も千に正直に言わなくたって。