第2章 私を乱さないで下さい··· ( 和泉 一織 )
コクコクと頷くのを確認して、更に一段下に足を伸ばした、その時。
万「こんにちはー、大神です。って、みんなで何してるの?」
不意に大神さんが現れた事に驚き、伸ばした足を踏み外してしまった。
環「アブねぇ!」
三「一織!」
万「おっと?!」
大神さんが手を伸ばすも、ガタンッと大きな音を立て、脚立が倒れた。
踏み外した衝撃に備えて、佐伯さんの体をしっかりと抱きしめ···あれ?
痛く、ない?
よく見れば大神さんが運んで来た新しいジャージの山がいい感じにクッションになっていて衝撃は避けられたようで。
いえ、それよりもこの感触は···
···!!!!!
咄嗟に顔を離したものの、温度が急上昇する自分の顔は隠し切れず。
環「いおりんが、マリーと」
三「ウソだろ、おい」
万「やれやれ···一織くん、それから愛聖も、ケガはない?」
大ありですよ!!
『一織さんゴメンね?私いま事故とはいえ···その···』
「それ以上何も言わないで下さい」
微妙な空気になるのと同時に、バタバタと足音が近付いて来る。
大「いま凄い音したけど何があったんだ?」
環「ヤマさん···いおりんがマリーと、キスした」
大「はぁっ?!」
「違います!事故ですよ、事故!四葉さんも微妙な所だけ切り取って報告しないで下さい!私はともかく、佐伯さんに失礼でしょう!!」
例え事故とはいえ、佐伯さんはその···私と···
『一織さん、私だったら大丈夫だから。ほら、ドラマとかでいろんな人とそういうのあって慣れてるから』
···いろんな人、ですか。
大「へぇ~、愛聖はいろんな人とそういう事してんだ?」
二階堂さん、いまそれを掘り起こさないで!
『二階堂さんこそ、この前ナギさんの部屋でお酒飲みながらアニメ見た後に、心寂しいから気が落ち着くまでハグさせろって言い寄って来ましたよね?!」
環「ヤマさんがマリーとハグ?!マジで?!」
大「おーい?!それは内緒にしろって言っただろうが!」
佐伯さんは今の出来事なんて何十人の内のひとり
かも知れませんが。
私にとっては初めての···いえ、こ、これは事故です!
事故なんです!
でもあの感触は···ウソじゃない···