• テキストサイズ

〖 IDOLiSH7 〗カラフルパレット

第2章 私を乱さないで下さい··· ( 和泉 一織 )


柔らかな感触を思い出し、何気なく自分の唇に手を当ててみる。

ウソじゃ、なかった。

大「イチ···お前ジックリ思い出してるとか
や~らしぃ~」

見てたんですか?!

「違いまふっ!ぁ···」

噛んだ···

『一織さん?』

「···降りてください」

まだ体を離していない状況で、覗くように顔を近付ける佐伯さんをそっと押しやって立ち上がり、誰とも顔を合わせないように歩き出す。

三「あ、おい?どこ行くんだ一織?」

「部屋で着替えて来るだけです。この後レッスンがありますから」

大「着替えて来ますって···イチ、お前の部屋はコッチだろ?そっちは逆方向だっつーの」

···。

「う、うるさい人達ですね。ほっといて下さい!」

クルリと進む方向を変え、早足でその場を立ち去る。

背後から二階堂さんの笑い声が聞こえて来るのを無視して、そのまま部屋へと滑り込んだ。

「はぁ···」

閉めたドアに背中を預け、大げさなくらいに息を吐く。

今まで感じた事のないくらい、胸が早鐘を打っている。

違う。

これは違う!

これはさっきの事故的キスでドキドキしてるんじゃない。

そう、思い込んでまた息を吐く。

自分がこんなにもドキドキしてしまった事は、誰にも知られたくない。

いえ、知られてはいけない。

なぜなら···

きっとなにかの度に、二階堂さんに弄られるから。

平常心···

平常心···

何度も呪文のように口に出し、その度に大きく深呼吸する。

思えば思うほど、さっきの出来事が頭を過ぎる。

パーフェクト高校生と呼ばれる私が、あの程度のことで狼狽えてしまったことは···

誰にも悟られないようにしなければ。













~ END ~

/ 153ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp