• テキストサイズ

〖 IDOLiSH7 〗カラフルパレット

第2章 私を乱さないで下さい··· ( 和泉 一織 )


兄さんが優しく声をかけても、なお首を振るばかりで降りてくる気配は全く見られない。

「困った人ですね。自分で降りれないなら、私がそこまで登って手を貸します。分かりましたか?」

制服のジャケットを兄さんに預け、動きやすい様にネクタイを緩めてシャツのボタンを2つ開ける。

環「うわ。なんかソレ、いおりんエロい···」

「こんな時に何を言ってるんですか、私にエロさを求めないで下さい。それより四葉さんと兄さんは、念の為に脚立を押さえて。じゃ佐伯さん、登りますよ?」

『え?だ、ダメ!いや、来ないで···怖い』

「そんなカワイ···コホン···情けないこと言ってもダメです。とにかく登りますよ」

私が脚立を一段登る度に、小さく揺れる事に怖がる姿が、堪らなくかわいらしいと思ってしまう。

私よりいくつか年上だというのに、それはちょっとだけ···反則です。

「さ、ここまで来たら腹を括る事をお勧めします。私に捕まって下さい」

『う···』

「怖いなら下を見ない方がいいですよ。そうですね···目を閉じるか、逆に天井でも見てて下さい」

『···分かった』

佐伯さんの腕を自分に巻き付かせ、体を抱えるように私も佐伯さんの背中に腕を伸ばす。

「いいですか、一段ずつ降りますよ」

そう言って顔を見れば、想像以上に近い佐伯さんと目が合ってしまう。

「私の顔に何かついているのですか?」

『あ···ごめんなさい。じゃあ、見ないようにするね』

···って!

この状況とこの距離で目を閉じるとか!!

環「いおりん···マリーとキス、しそう」

「何言ってるんですか四葉さん!」

三「環、いまそんなこと言ってる場合じゃないぞ」

柄にもなく少しだけ動揺しながら、これで二人とも脚立から落ちたら元も子もない、と我に返る。

冷静に···冷静にならなければ。

いくら体を密着させているといえ、これはあくまでも救助です。

助けに向かった方まで巻き込まれたら意味がありません。

邪念を振り払って、ゆっくりと一段ずつ降りていく。

環「おー···いおりん、あと少しだぞ」

三「気をつけろよ一織?」

「分かってます。佐伯さん、あと二段です」














/ 153ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp