第12章 いつか届くといいな・・・ ( 七瀬 陸 )
「そんな・・・じゃ、もし催眠術が解けなかったら、愛聖さんはずっとこのままですか?!」
「いえ・・・それは分かりません。何かのきっかけで解けるかも知れませんが、今の段階ではなんとも言えないのが事実です」
スタッフたちはカメラを止めろだとか、プロデューサーに連絡をだとか騒いでるけど。
そんな声よりも何よりも、オレはこのまま催眠術が解けなかったらどうしようって、そればかりを考えていた。
収録は当然そのまま中止になって、オレたちは寮へと帰って来たけど・・・帰り道でも、ずっと愛聖さんはオレと手を繋いだままだったから、ナギと環、そしてなぜか一緒に寮まで着いてきた千さんと百さんまでがブーイングの嵐だった。
大「それにしても、どうしたら解けるんだろうな」
壮「そうですね・・・何かきっかけでもあったら解けるとか?」
三「きっかけって言っても、プロの催眠術師が解けなかったやつだぜ?」
だよなぁ・・・プロがどうにも出来なかったのに、素人のオレたちじゃ何も出来ないよ。
そう思って、他に何かいい方法がないかと考え始めた時。
ナ「とっておきの方法が、ひとつだけありマス・・・それは・・・」
「「 そ、それは?! 」」
ナギの妙に自信満々な感じにみんなで食い入るように耳を傾ける。
ナ「プリンセスを元に戻す方法・・・熱いキスしかありまセーン!」
「「 キス?! 」」
環「それって誰の?ナギっち?それともりっくん?」
ナ「この場合、残念ながらワタシではなく、リク・・・でしょう」
「えぇっ?!オレ?!」
いや、そんなキスだとかムリだってば!
ナ「イエス!Sleeping Beautyの目を覚ますには、Prince・・・つまり、リクの愛のチカラが必要デス」
環「そーちゃん、ナギっちのいってるSleeping Beautyってなに?」
壮「あぁ、それはね?環くん、眠り姫って話は知ってる?」
環「眠り姫・・・なんか、アレだろ?呪いでずっと寝てて、とか」
壮「うん。その話の英訳題のことだよ」
いや、壮五さん・・・そんな冷静に説明してる場合じゃなくて。
環「なぁ、ナギっち。ナギっちの言ってるのって、呪いで寝てるお姫様のことじゃん。マリーは起きてっから、違くね?」
問題はそこじゃないよ環!