第11章 A little more to love (大神万理 )
~ epilogue ~
ん~・・・今日もいい天気だ。
果てしなく広がる青空を見上げて、誰もいないのを確認して背中をグンッと伸ばしてみる。
あの撮影から1週間が過ぎ、そう言えばそろそろCMが放送されるんだったっけ・・・なんて思いながら駐車場に車を停めて事務所へと向かう。
放送開始・・・そうなると当然、いつかはあの子たちにも俺が参加したことがバレてしまう。
それはそれで・・・気が重い。
それに、最後に追加で撮ったポスターもCMに先駆けて今日からあちこちに貼り出されるのかと思うと、どこで誰に見られるか分からないところが気が抜けない。
なんせあのRe:valeと、それから佐伯 愛聖との共演作になる訳だからね。
直接的には千たちと共演した訳じゃなくても、世間的にもメディア的にも、同じクライアントのCM撮りはそういう扱いにはなる。
そんな日に限って、俺はMEZZO"のマネージャーとしてテレビ局に向かわなきゃ行けないだなんて。
それも・・・Re:valeのトーク番組にMEZZO"がゲスト出演とか。
絶対、楽屋挨拶に行けば千や百くんたちに弄られるのは確かだし。
千たちに弄られる前に、先にRe:valeのポスターにヒゲでも描き込んでやろうか・・・なんて、子供のイタズラだな、それは。
とにかく・・・前途多難な1日になりそうだ。
さっきまで青空に伸びをしていた気持ちは、この後のスケジュールによってどこかへ消えてしまった。
とはいえ、仕事は仕事。
MEZZO"が出掛ける前までに、出来るだけの事務作業は終わらせておこう。
俺じゃないと分からない仕事から最優先に。
うん、そうしよう!
気持ちを切り替えて事務所へと入り、既に出勤している社長に朝の挨拶をするためにそのまま社長室へと向かえば。
「あ、れ・・・?今日ってアイドリッシュセブンで何かありましたっけ?」
土曜日の朝・・・とは言ってもそう早くはない時間ではあるけど、社長室にはアイドリッシュセブンと紡さん、それにどういう訳か愛聖までが揃っている。
紡「おはようございます大神さん。大神さんが来るのをみなさん揃ってお待ちしていたんです」
「・・・俺を?」
いや、なんで?
こんなに全員集合されるほど、俺なんかしたっけ?