第11章 A little more to love (大神万理 )
「あぁ、まぁね・・・」
千、いつから見てたんだよ。
百「バンさん、赤くなったり青くなったりしてたけど
?」
「そこはもう気にしなくていいよ・・・それより、俺が着る衣装ってのは決まった?」
無理やり話題を変えれば、千が俺の目の前にヒラリと持って見せるそれに目が止まる。
「これ・・・を俺が着るのか?」
千「他に誰が?」
百「バンさんなら絶対着こなせるって!」
「そうは言っても、」
千「着こなせる方は認めるんだ?」
「ナイトウエディングとは言ってもこのカラーでいいのか?」
そう?と言いながら千がその衣装をゆらゆらとさせれば、シルバーブルーの生地に光をさりげなく反射させている。
「デザイン自体はテールコートだから、誰が着てもおかしくはないでしょ。千はオフホワイトを軸にしたフロックコートだし、百くんが着てるモーニングコートだってよく似合ってる。選んでくれたデザインに異論はないけど、愛聖と並んだ時に違和感出ない?」
千「愛聖と並んだ時に?」
百「違和感?」
「「 絶・対・大・丈・夫! 」」
なんだその、どこから湧いてるのか分からない自信は。
千「まぁいいから四の五の言わずに早く着替えて」
百「そうそう、ユキの言う通り!スタッフー!」
百くんがノリノリでパチン!と指を鳴らせば、同じようにノリノリなスタッフが千から衣装を受け取って俺の背中をグイグイと押し歩く。
千「じゃ、あとはよろしくね?」
百「オレたちは向こうで待ってるから」
「「「 ハイ! お任せ下さい!! 」」」
着替えるだけなのにこれだけのスタッフが必要なのか?とも思いながら、脱がされるまま、着せられるままに身を任す。
やがてそれも終わり姿見に映る自分を見て見て、衣装に着られてるようだと自嘲した。